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九代目林家正蔵のアプローチ [落語]

 「林家こぶ平 改め 九代目林家正蔵 襲名披露 特選落語名人会」(長いので一息・・・)を聴きに、神奈川県民ホールに行って来た。

 扇家勝丸が太神楽曲芸をにぎやかに披露した後、いきなり春風亭小朝登場。演目は、「涙をこらえてカラオケを」という新作落語。関西落語みたいに、舞台に小さな机のようなものが置いてあるから何かと思っていたら、その影にカラオケマイクやハンドマイクをしこんであった。それにしても、小朝師匠の歌のうまいこと。宇宙戦艦ヤマトから犬のお巡りさん、アリスのチャンピオンまで多種多様な歌を見事に歌い上げた。本当は古典を聴きたかったんだけど、正蔵に気を遣ったか?それでも爆笑の高座はさすが。もしかしてこれって、古典をモデルにしたものか?気になる。
 続いて、林家木久蔵登場。例によって古典でなく、笑点話や師匠の8代目正蔵の話などをとりませた「明るい選学」。考えてみれば、この日は正蔵の襲名披露なのだから、先代の話はふさわしいわけだ。「林家正蔵伝」なんていう演目があるぐらいだから、この人にとってはお手のもの。でも、前回より今回の方が笑えた。木久蔵自身が時折自分のギャグなどに声を出さずに大笑いする、あのいつもの芸に笑わされた。
 中入り後、口上。上の2人に正蔵自身と花録が加わる。正蔵(こぶ平さん)は、頭を下げっぱなしで、三本締めまで顔が見えない。(ちなみに三本締めの「いよ~お」というかけ声は、「祝おう~」の江戸言葉なんだそうで、へーボタン百連発レベル。小朝さんは、これで自分が三平を継げる、とコメントしていた。ギャグか本気か?木久蔵さんは、とてもまともなご挨拶。さすが。本当は頭が良いところをしっかりと披露。
 柳家花録登場。すっごく短い高座。「長短」。やはり、あとの主役に気を遣ったか?
 トリに、正蔵師匠登場。「子別れ」のうち、いわゆる「子はかすがい」の場面。たっぷり聴かせた。

 枕で、正蔵本人が、「父親とは違う道で頂上を目指す」と語っていた。そのアプローチが、この日の演目であり、前回聴いた「死神」「火焔太鼓」なのであろう。
 前回の高座では、「なんだか華がない」「やたらきまじめな高座だな」と、どちらかといえば否定的な感想をもった。朝日新聞の芸能面で、「こぶ平、やればできるじゃないか」と書かれたように、多分、芸は格段にうまくなっている。でも、個人的には、おもしろくない、なんだか楽しくない、と思っていた。
 ところが、この日の噺を聴いて、ちょっと考えを改めた。
 奇しくも口上で小朝が語ったように
「9代目正蔵は、なんだかわからないけれど、聴いていて懐かしくなる噺をする」
というのが、なんだか味になっているような気がしてきた。少し迫力のようなものを感じた。
 「それが天性。他の者には真似できない。関東の落語家にはいない。」
とまで小朝は言う。
(でも
「他の落語家が身に付けているものを身に付けていない。それが向こう十年の課題。」
と冗談めかして語ってもいたが。)
 この日の演目は、寄席での襲名披露でもやったもの。テレビでも観た。
 こてこての人情噺。これが、爆笑王と言われた父親を乗り越え、別のアプローチで頂上を目指す、今現在の9代目正蔵の答え(仮説?)なのだろうと思う。とことん、まっすぐな人なんだろうな。
 なら、とことんやればいいと思う。10年後を楽しみにしたくなる、それまでちょっと応援したくなる、そんな高座だった。(ちなみに、ちょっとウルってきた。初めて聴いた噺ではないのに。)

 最近では珍しく、まじめに熱く語ってしまって、目眩がしてきた・・・・。
 ちなみに、入り口ロビーに「所ジョージさん」「高橋英樹さん」そして「二木ゴルフ(菓子)」からの、お祝いののぼりがあった。舞台の幕にも、中入りまで「所さん」中入り後は「高橋英樹さん」の名前が入っていた。


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ケンケン

落語は一度生で見てみたいものの一つです。やっぱり、演劇、スポーツなどは会場の雰囲気も味わえる会場ですね。
九代目正蔵、これからいろんなことがあるとは思いますが、期待している一人です。
by ケンケン (2005-05-15 21:19) 

茅ヶ崎住人R

落語はおもしろいです。
なんというか、息づかいが感じられるというか、
とにかくCDやテレビやビデオと違うんですよね。
コンサートとも少し違う・・・。
10年後の正蔵さん
楽しみです。
by 茅ヶ崎住人R (2005-05-16 04:18) 

うわ~ いいですね!!
落語をご堪能だなんて。。羨ましいです。。
私も一度でいいから聞いてみたいんですよ。
今、落語のドラマ、やってるじゃないですか、くどかんの。
見事、ハマってます(笑)。
噺の上手い人って憧れますし引き込まれ、
日本語の楽しさ、江戸言葉の楽しさなどを感じ、
落語によって江戸情緒を思い浮かべながら聞けると言うのが楽しそう☆
これ絶対 一度生で!と思ってやまないんですけどネ。
今日は思いきり刺激されました♪
by (2005-05-16 22:25) 

私も時々落語を聴きに行くことがありますが、何度聞きに行っても楽しいですよね、色々な感動があって★県民ホールでも落語とかやってるんですね、知りませんでした…。。
by (2005-05-17 00:34) 

茅ヶ崎住人R

pastさん、こんばんは。
落語のチケットは、案外手入れやすいんですよ。
ぜひ行ってみてください。
県民ホールだと大きすぎるかな?
鎌倉芸術館くらいがいいかも。
by 茅ヶ崎住人R (2005-05-17 20:39) 

茅ヶ崎住人R

aikaさん、こんばんは。
県民ホールでは、結構たくさんの落語会があります。
でもちょっと広すぎて、聞き取りにくいかな?
もう少し近くで観たいものだと思います。
by 茅ヶ崎住人R (2005-05-17 20:40) 

ricca

こんにちは。はじめまして。riccaと申します。
襲名披露、行かれたんですね・・・。うらやましいです。私もすごく行きたかった(だって、連ねる人々もすごいじゃないですか!)ですが、日程があわず&いけそうな場所がチケット完売でした。
本当は5月31日の新宿末広亭にも行きたかったんですが・・・。
また覗かせていただきますね!
by ricca (2005-05-18 23:04) 

茅ヶ崎住人R

riccaさん、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございました。
私は小朝さんが好きで、
どちらかというとそっちが目当てみたいなモノでした。
九代目には、幸せになっていただきたい・・・。
また、おいで下さいね。
by 茅ヶ崎住人R (2005-05-21 16:22) 

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