R少年のぼうけん~ちょっとした童話 [物語]
子どものころのR少年は、もちろんたいへんよい子でした。
ある日、R少年は、自転車でぼうけんの旅に出ました。どうしてそんなことをしたのかは、まったくおぼえていません。でも、はっきりとおぼえているのは、水とうをもって行ったことです。つまり、やっぱり、「ぼうけん」だったのです。
R少年は自信たっぷりでした。なぜなら、あぶないところには行くつもりがなかったからです。まあ、ちょっと遠くに行ってやろう、ぐらいの気持ちでした。はじめは、よく知っている商店街(しょうてんがい)を通りました。すると、大きな通りに出ました。そこもよく知っている場所でした。おうだん歩道をわたり、そのまままっすぐ進みました。そこは、あまり行ったことはないけれども、なんだか少し知っているような気がする場所でした。
「だいじょうぶ。わからなくなったら、そのまま来た道をひきかえせばいい。」
どんどん進みました。やがてつきあたりに出ました。右と左に道があります。おまけにここは、今まで来たことがない場所です。でも、
「だいじょうぶ。わからなくなったら、そのまま来た道をひきかえせばいい。」
右に進みました。しばらく行くと、道が細くなり、お店もなくなってきました。おまけにのぼり坂で人どおりも少なくなり、R少年もさすがに少し心細くなってきました。
「だいじょうぶ。わからなくなったから、そのまま来た道をひきかえそう!」
R少年はダッシュでひきかえしました。ところが、いつまでたっても、知っている道に出ません。そう、さっき右に曲がった(つまりつきあたりの)ところを、知らないうちに通りすぎてしまったようです。行っても行っても、知らない場所です。
「だいじょうぶ。またわからなくなったから、そのまま来た道をひきかえそう!」
R少年はスーパーダッシュでひきかえしました。ところが、いつまでたっても、あの曲がりかどに出ません。R少年は、きゅうにおそろしくなりました。とにかく、めちゃくちゃに自転車をこいであっちに行ったり、こっちに行ったり・・・。泣きそうになって走り回りました。それでも道は見つかりません。
どのくらい走り回ったかR少年にはわかりませんでした。そのころの小学生は、うで時計なんてもってませんからね。(今から思えば、ほんの数十分だったのかもしれません。)ふと気がつくと、なんと、自分がよく知っている、つまり最初にわたったおうだん歩道にたどりついていました。
これが、これといってかわったこともない、R少年の「ぼうけん」でした。
あのときのことを思い出すと、今でもふしぎな気持ちになります。たぶん、何かのまほうにかかっていたのでしょう・・・。
(もちろん、家に帰ってからこっぴどくしかられたこと言うまでもありません。無事に帰ってこられたこの少年はとてもラッキーだったのです。きみたちは、知らないところに一人で行っては行けません。今は、ぶっそうな世の中ですからね。)
きゃー、ワタシも車の免許とって初めて運転した時に、全く同じ「ぼうけん」しました!友達が一緒だったんですが、2人で絶対にヘンな霊にヤラレたに違いないって震えてたの思い出しました。すっごい怖かったです。ホント、無事に帰ってこられたのが不思議な出来事でした。あれって、なんなんでしょうね~?
by kabo (2005-04-06 00:38)
すごく分かります。私も子供の時、冒険好きでした。
この話読んだら、親と出かけた時、隠れて親が捜すのを楽しんでいたら、
ほんとに迷子になって、泣いたのを思いだしました。
by kotori (2005-04-06 22:12)
想像したら、ファンタジーながら、ちょっと怖くなっちゃいました。
え〜〜〜〜ん。
by (2005-04-06 23:11)
kaboさん、こんばんは。
初めての運転自体が「ぼうけん」ですから、
まさに「大ぼうけん」でしたね。
だれかの大きな手のひらの上で踊らされてる感じ・・・かな?
by 茅ヶ崎住人R (2005-04-07 02:57)
kotori さん、こんばんは。
子どもの頃の迷子って、恐ろしいですよね。
一瞬、周りの音が消えたような気がするようで・・・。
視線も随分低くなっちゃうし・・・。
by 茅ヶ崎住人R (2005-04-07 02:59)
torichin さん、こんばんは。
先が見えない怖さは、
ああいうときに学んでいくものなのかもしれませんね。
そういえば、
ウルトラセブンに、にたような話がなかったっけかな???
by 茅ヶ崎住人R (2005-04-07 03:01)
私が覚えているのは、カッパの三平です。>似たような話。
by (2005-04-07 22:06)
ああ、そうかもしれない。
ウルトラセブンとか、ウルトラQとかって、怖い話も多いですからね。
by 茅ヶ崎住人R (2005-04-08 22:39)